五番町夕霧楼の小説と映画の感想

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五番町夕霧楼(水上勉 1919-2004 福井県生れ)

赤線、遊郭建築に興味を持ち始めた頃、
京都上京区にある五番町が舞台になっていたので読んだ小説です。

貧しさ故に自ら京都五番町の遊郭に身請けされた主人公の夕子が
京都の禅寺「鳳閣寺」(モデル金閣寺)の学生僧として修行している幼馴染と再会します。
夕子と吃音の障害をもつ学生僧の悲恋の物語。
世間に対する憎しみを持つ学生僧が鳳閣寺を放火する事件を起こし、
クライマックスへ展開していきます。
最後は散花が情景に浮かんで悲しくも美しく感じる場面で涙しかない物語です。
(1966/4/1新潮社から発行の文庫は絶版です)

映画版

1963年に佐久間良子さん、1980年に松坂慶子さんが夕子を演じた映画が公開されています。
個人的には佐久間良子さんバージョンの映画の方が好きでDVDも持っています。
小説の田舎から出てきたばかりの少女の雰囲気が出ていたと思います。
戦後間もない時代を感じるのも1963年に封切られた映画だからでしょうか??
松坂慶子さんのほうは夕子にしては色気があり過ぎたような気がしますね。
松坂慶子さんの綺麗な姿を堪能できます。
小説を読んでから映画を見られることをお勧めします。

テレビ放送

・1968年に(フジテレビ)東海テレビ制作の昼ドラマで放送
(茅島成美、木暮実千代)
・1974年にTBS系列「愛の劇場」枠で放送
 (三浦真弓、古谷一行)

謎だった名前の読み方

「みずかみつとむ」と思っていたら、ネットで「みなかみつとむ」と書かれているのを
見て、「みずかみ?」「みなかみ?」どっち??と長年考えていましたが、謎が解けました。

「図書」1987年2月号に、水上勉が書いた「姓名のこと」(p2~3)という文章が載っている。それによると東京の友人や出版社の人々にはミナカミと呼ばれていること、ミズカミと呼ぶのは出生地若狭の役場と村の人々であり、人が呼ぶのだからいちいちミズカミと反論するのもひかえ、姓などといってもどちらでもいいような気がしていたとあり、最後に「ミズカミツトムでゆきたいと思う」とある。 本名は「ミズカミツトム」。

レファレンス事例詳細

こぼれ話

水上勉さんが五番町で遊んでいたかは不明ですが、
もうお亡くなりになってしまった上七軒の芸妓さんと良い仲だったとか・・・?
たぶん、ご贔屓にされていたんでしょうね。
私も大好きだった芸妓さんでした。
偶然、お料理屋さんで居合わせると、サラッと一芸を披露して楽しませてくれたり、
本当に素敵な芸妓さんでした。

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この記事を書いた人

海外生活を経て改めて日本の文化に興味を持ち
遊郭建築や古い建築物を巡っています。
花街の歳時記を記録していきます。

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